<< NATURA S(4) [ レビュー(カメラ) ] Kiev-2 >>

EXA 1b

 M42なテッサーを探していたところ、そこそこ綺麗なEXA 1bに付いてるのを見つけたので捕獲してきました(1.2万)。もう一本オマケにENNAの曇り玉が付いていましたが、大変にチープな代物なのでそのままジャンク箱行きに。



 ボディNo.は719585。Exa 1bは1977年から1985年まで生産されており、このボディは比較的初期のもののようです。この時期、既にイハゲー社はカメラ事業から撤退しており、Exaktaのブランドのみがペンタコン人民公社に残されたようです。
 この時期のEXAシリーズは既に旧Exaktaシステムとの互換を保つ必要は無く、ペンタコン人民公社でのローエンドを担うためにユニバーサルマウント化されたものと思われます。(1aまではExaktaバヨネットマウント、1b/1cはM42)



 背面のレザーには「1 MADE IN G.D.R.」の刻印。G.D.R.はGerman Democratic Republicの略で旧東ドイツの事。



 Exakta伝統のウェストレベルファインダー。ミドルフォーマットのカメラよろしくボタン一つで組み上がりますが、拡大レンズは眼鏡使用者にはフレーム全体を見渡すことが出来ないので、ピント確認後折りたたんでの撮影がいいと思います。折りたたんだ状態でもピント確認は(目が疲れますが)出来ないレベルではありません。
 巻き上げレバー横に押したくなるボタンがありますが、巻き上げ用のボタンなので注意。ファインダー横にはシャッターロックもあって親切です。

 フィルムカウンターは、フィルム装てん後に0をセットする方式ですが、ちょっと触ると意図せず回ってしまう事があるのであまりアテになりません。ただ、どうやら本来有るはずの基部のパーツが欠損しているようなので、本来は問題ないと思われます。



 スクリーンはただのスリガラスですが、倍率向上のためかレンズ状になっているので、像は多少樽型に歪みます。ただ、古い一眼レフは素通しファインダーで使用に難があることも多く、一応でも使用に耐えるのは良い事だと思います。(なので、古い海外製一眼レフにはあまり興味がない・・・余談ですが)



 シャッターは独自のミラー兼用1/4回転シャッター(?)。ミラーの上昇を先幕として、後幕に相当する板が追随して閉まることでシャッタースピードをコントロールしています。独自性を感じるメカニズムですが、何と1/30〜1/175までしか切れないので日中での撮影は支障があります。低感度なフィルムを入れるか、使用時間帯を選ぶしかないでしょう。
 その代わりと言っては何ですが、Exaktaシリーズらしくもない機構の単純化が図られているようで、操作していても不安なところはありません。コロコロとしたボディと相まって、使ってやりたくなります。レリーズはやはりExaktaらしく左手で。

 マウントは前述の通りM42ですが、純正の組み合わせですので当然のように絞り開放でのピント調整が可能で、シャッターレリーズにより絞り込みピンが押し込まれます。この部分の動作はきわめてスムーズ。シャッター速度に難がありますが、M42のPENTAX系のボディでは後玉がミラーに当たるようなレンズを使うには悪くないかも知れません。



 「鷹の目」テッサー。戦後は東西でテッサー銘のレンズが生産されていますが、やはりイエナのテッサーは正当な末裔という気がします。どちらかと言えばスペース的に制約があるフォールディングカメラやパンケーキタイプの薄型レンズ、近年ではコンパクトカメラ用等に用いられることが多いですが、レンズ枚数が少ないことによる抜けの良い発色は独特な物があります。
 このレンズは、東独ツァイス銘の製品としては最終型に相当し、同年代の他のレンズと共通性のあるデザインになっています。「MC」等の記述はありませんが、各層ともシアン系のコーティングがされています。ただ、ロゴはシリアルのみ刻印で他はペイントだったりしますし、おそらく同時代の上位標準レンズとしてはパンカラーを用意していて、テッサーは安価な入門用だったのではないかと思われます。(F2.8ですし・・・)
 鏡胴の造りは悪くありませんが、ピントリングの回転はやや渋め。フィルター径はΦ49mm、キャップは欠品していますがおそらくΦ51mmのかぶせ式。
 テッサーにしては厚みがあるレンズですが、その代わり激しく奥目なのでフード無しでもそこそこ行けるかもしれません(純正はゴム製のフードが用意されていたようです)。最短撮影距離は35cmでかなり寄れます。
 尚、M42で展開されたツァイスイエナのSLRレンズ群は、その後ペンタコンBシリーズ用のバヨネットマウントレンズ群に組み込まれ、近年まで生産されていたようです(レンズ名称はPENTACON銘が殆ど)。ただ、ボディの造りは年代的な事情を反映してあまり良くなかった様で、東独ツァイスのレンズを比較的安心して使うにはこのシリーズが最良ではないかと思います。

 試写は後程。気が付くとM42で35〜135mmまで揃っていたりして、酷い構成ながらも一応システムらしくなってたりします。35mm/F2.4のフレクトゴンを持っているので、この際同年代のレンズを揃えようかと一瞬思いましたが、135mmのゾナーはいい評価を聞いたことが無く、80mmのパンカラーはやたらお高いのが難。

参考サイト:wrotniak.net: classic Exakta cameras
comment (0) | trackback (0) | 投稿者:やまもと
<< NATURA S(4) [ レビュー(カメラ) ] Kiev-2 >>

Comments

Comment Form

Trackbacks